昨今はテレビ、雑誌等でもモノを捨てて快適に暮らすノウハウが
ブームである。
少ないものでも気分爽快に生きるコツというもの、不要なもの、
家財道具、日用品は捨てる、いらないものは買わないという暮らし方
「フランス人は10着しか服を持たない」という翻訳本も
女性によく読まれた様である。
しかし、捨てる、買わないという生き方は難しい。
「モノだからといって、ただ黙って置かれているわけではない。
置かれていてもモノはメッセージを発している」
ある方が何かの本に書いておられたが、そうだと思います。
昨年、遠方よりお孫さんの大学入学祝いにスーツを新調したいと
いうことで、ご本人様、お父様、お母様、祖母様と4人ご来店いただき、
少し高額のスーツを作らせていただきました。
入学式に着用され、事ある毎に着られますが、何10年後、体型が
変わり着られなくなっても決して捨てることはないと思います。
むしろ着られなくなってハンガーに吊るしてある服は
祖母が買ってくれた思い出をメッセージを発しています。
吊るしてあるオーダースーツ、オーダーコートは思い出など、
様々な記憶を発信していると思います。
私共の仕事はお客様の人生の一コマを刻むお手伝いを
させていただいていると、ふと思ったりもします。