夏の暑さ真っ盛りの日、フロックコートを作って頂けませんか?と来客がありました。
お客様は、明治時代の元勲 大久保利通がフロックコートを着用している画像を持参され、これと同じ様なフロックコートを作ってもらいたいとのことでした。
痩身、長駆で厳粛な大久保利通がフロックコートを着た姿は威厳があり、これを再現するのはなかなか難しいものです。
フロックコートは、19世紀中頃の正装で、濃紺か黒が由来。一般的なイメージは、結婚式で新郎が着るようなロングタキシードを思い浮かべますが、明治時代のフロックコートは燕尾服のように腰に切り替えがあり、背中のダーツがカーブしていて、ヒップにふくらみが入っている。これが本来のフロックコートです。
今回作らせて頂いたフロックコートは、Wの剣襟で拝絹でガクブチどりをしています。ベストもWで6つボタンの3ヶ掛け。拝絹でガクブチどりをし、スラックスは側章をつけて、懐中時計を入れるポケットをつけました。スラックスの前はボタン付けで、サスペンダー付けのボタンもつけています。後ろは美錠付き。裾はWで仕上げました。詳しくは写真でご紹介しています。
穴かがりはすべて手穴かがりと、仮縫い合わせも2回行い、ご注文から納品まで2ヶ月半かかりました。お客様が着用され、納得して頂いた様子にはホッとしました。